【健康】なぜ?インフルエンザが夏には流行らない理由

あなたはなぜインフルエンザが冬に流行り、夏には流行らないかを知っていますか?

 

そこには昔から続く色んな流れがあるのです。

 

 

普段はシベリアやアラスカ、カナダなどの北極圏の近くで、凍り付いた湖や沼の中にじっと潜んでいます。

 

春になって渡り鳥が繁殖のために戻ってくると、ウイルスは鳥の体内に潜り込んで腸管で増殖します。

 

渡り鳥は年に二回、繁殖地と越冬地の移動の途中でふんといっしょにウイルスをばらまきます。


渡り鳥の中には北極圏から南極圏まで、長距離移動するものもいるので、ウイルスを地球規模でばらまいているというわけです。

 

鳥のふんに潜むインフルエンザ・ウイルスが人間にたどりつくまでの経路ですが、豚が重要な仲立ちをしています。

 

豚の呼吸器の細胞は、多くのウイルスが感染できるようになっていて、ここに鳥の持つウイルスが来ると、人に感染する型が生まれるのです。

 

豚は新型インフルエンザ・ウイルスの『製造工場』ともいえるのです。

 

豚でできた新しい型のインフルエンザ・ウイルスが、ヒトに広まっていくわけですが、その世界的な流行の起源と考えられているのが中国の南部です。

 

中国南部では、アヒルやガチョウが豚といっしょに飼われていることが多いのですが、家畜化されているアヒルやガチョウは、鳥が運んでくるウイルスに容易に感染します。

 

ヒルやガチョウが豚から新亜型のウイルスに感染し、ヒトに伝わっていくと考えられています。

 

過去 100 年間に発生したインフルエンザの世界的流行の多くは、中国南部に起源があったと考えられています。

 

インフルエンザは人類を最も殺した病気。

記憶にも新しいと思いますが、2001 年には鳥インフルエンザというのがありました。

 

世界で 4 億羽を超えるニワトリやアヒルが処分され、日本でも 182 万羽が処分されました。

 

人間にも広がり、2013 年の世界保健機関(WHO)などの調べでは、世界で 630 人が発病し、374 人が死亡しました。

 

死亡率は 6 割近くになります。これらの死者はほとんど、ニワトリとの接触で感染したことが明らかになっています。

 

2009 年には豚インフルエンザがメキシコやアメリカで発生し、世界 199 か国・地域で感染者は 6100 万人、死者は 1 万 8000 人を超えた、と米国室病予防管理センターは発表しています。

 

日本でも原因が確定できない人も含めて 203 人が亡くなりました。

 

14~15 世紀には、スペインのある都市そのものが消滅したという記録が残っていますし、1977 年のソ連かぜでは約10万人が死亡しました。

 

戦争を止めたこともあります。

 

第一次大戦は 1914 年にアメリカがドイツに宣戦布告して始まりましたが、緊急動員された兵舎はどこもごった返しており、感染が一気に拡大しました。

 

大流行したインフルエンザでアメリカは 5 万 7000 人、ドイツは 20 万人の将兵を失い、戦争どころではなくなってしまったのです。

 

さらに感染した兵士が本国にウイルスを持ち帰り、インフルエンザのグローバル化まで起きました。

 

人類史上最大の死者と感染者となってしまいました。

 

『スペインかぜ』と呼ばれる大流行です。

 

長い歴史を見て、人類を最も殺した病気がインフルエンザなのです。

 

ちなみにタミフルリレンザは中国料理や漢方薬でなじみの深い八角で作られています。

 

感染の起源も中国ですが、治す生薬がとれるのも中国というわけです。